20080309

日本人患者からiPS細胞作製へ 病気解明へ京大チーム


2008年03月09日21時46分

京都大学大学院医学研究科の中畑龍俊教授(発達小児科学)を中心とした研究チームは、日本人患者の皮膚などから、万能細胞(iPS細胞)をつくり、病気の原因究明や治療法の開発に取り組む計画を進めている。iPS細胞は京大の山中伸弥教授が作製に成功したが、これまでは、海外から買った皮膚細胞でヒトiPS細胞をつくっていた。今週にも医学部の倫理委員会に申請する。

患者の皮膚などの細胞を初期化したiPS細胞は、病気を起こす潜在的な要因をもつと考えられる。これが分化する様子をみることで、病気を起こすメカニズムがわかる可能性がある。

子どもに多い1型糖尿病や筋ジストロフィー、先天性の貧血などに悩む京大病院の患者を対象に考えている。血糖を下げるインスリンの分泌がされない1型糖尿病であれば、iPS細胞を膵臓(すいぞう)の細胞に分化させ、1型糖尿病の起こる仕組みや治療薬、治療法を探る。再生医療としてiPS細胞からインスリンを分泌する細胞をつくる試みも検討している。

また、病気をもたない日本人からボランティアをつのり、皮膚や臍帯血(さいたいけつ)からヒトiPS細胞をつくり、病気の人と比較する。iPS細胞バンクづくりもめざす。

研究代表者の中畑教授をはじめ、京大の小児科、内科などの医師と山中教授が協力して実施する。山中教授は「外国でも同様の研究の取り組みは始まっており、倫理委員会に申請したという話は複数聞いている。われわれが患者さんの細胞からiPS細胞をつくり、京大だけでなく、多くの医師らと協力して研究したい」と話している。

 

《朝日新聞社asahi.com 2008年03月09日より引用》

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