山中教授がセンター長に 京大の万能細胞研究拠点
2008年01月10日20時38分
山中伸弥・京都大教授らが作製に成功した万能細胞(iPS細胞)研究の拠点となる京都大のセンターが月内にも正式発足することがわかった。将来的に10人ほどの教授陣に加え、100人以上の研究員が集う場にする構想。センター長には、山中教授が就任する。
10日にあった万能細胞研究の支援体制を検討する文部科学省の作業部会後、京都大の松本紘理事が明らかにした。京都市内にレンタルオフィスを借りて早急に活動を始めるほか、年内に仮設の施設を設置。2年後をめどに建物を完成させる計画だという。
知的財産は大学本部で管理し、センターを担当する弁理士や弁護士を置く。山中教授が所属している京都大再生医科学研究所を国内の研究者が共同利用できる施設に変更し、iPS細胞研究への参加を促す方針だ。
また、関係各省の支援方針も同日出そろった。国の総合科学技術会議の作業部会で報告された。
経済産業省は、iPS細胞を薬の効果や副作用の検出に使うための研究開発を京都大と共同で07年度中に始める。作製効率を上げる手法の開発なども支援する。
厚生労働省は、医薬基盤研究所を通じ、来年度も1億円弱の研究費を助成する。利用時の指針を整備するための準備や、細胞培養に必要な専門施設の整備などを進め、再生医療全般で研究を支援する。
文部科学省は、臨床試験手前の研究事業を08年度に30億円規模で始める。内訳は、iPS細胞に関連した病気のモデル細胞作りなどの基礎分野に10億円、神経細胞や血球などへの分化誘導技術開発などの応用に10億円。また、胚(はい)性幹細胞(ES細胞)や体性幹細胞を含む幹細胞研究全般にも10億円を充てる。京都大での知的財産権保護も支援する。
《朝日新聞社asahi.com 2008年1月10日より引用》