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ピロリ菌から発がんたんぱく質 北大、マウスで実証


2008年01月08日10時16分

人の胃にすみ着くピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)がつくるたんぱく質にがんを引き起こす働きのあることを、北海道大遺伝子病制御研究所の畠山昌則教授(分子腫瘍(しゅよう)学)らのグループがマウスの実験で明らかにした。今週の米科学アカデミー紀要電子版に発表する。胃がんなどを起こす仕組みの解明につながる成果だ。

ピロリ菌が胃の粘膜の細胞にくっつくとCag(キャグ)Aというたんぱく質を細胞内に打ち込むことが知られている。

畠山さんらはCagAを作るピロリ菌の遺伝子を取り出してマウスの受精卵に組み込み、全身の細胞にCagAが入るとどうなるかを調べた。すると、約200匹のマウスの半数以上は生後3カ月までに胃の粘膜の細胞が異常増殖して胃壁が厚くなり、その後約20匹で胃にポリープができた。さらに1年半以内に2匹が胃がん、4匹が小腸がんを発症。白血病になったマウスも17匹いた。

これまでの細胞レベルでの研究で、CagAが細胞内で別のSHP―2というたんぱく質と結びつくと細胞のがん化が起きることを突き止めていたため、SHP―2と結合しないように細工したCagAをつくらせてみると、マウスはがんにならなかったという。

畠山さんは「CagAががんを起こすことが、個体レベルで証明できた。将来、CagAとSHP―2との相互作用を妨げる薬の開発ができるかもしれない」という。

 

《朝日新聞社asahi.com 2008年01月8日より引用》

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