患者の幹細胞で大腿骨を再生 京都大で臨床試験へ
2007年12月07日22時15分
京都大学病院は、大腿(だいたい)骨の股関節との接続部分が壊死(えし)する難病の「大腿骨頭(こっとう)壊死」の患者に対し、患者の骨髄にある幹細胞を注入し、骨の再生を促す臨床試験を始め、7日発表した。一例目となる27歳の男性患者に対して来年2月に移植手術をする。同病院は、手首の骨が壊死する「月状骨(げつじょうこつ)壊死」の患者への臨床試験も計画しており、2年間で計20人を対象とする。
骨髄に含まれる幹細胞は骨や血管、脂肪などに変わる能力をもつ。骨がなくなった部分に、患者自身の血管がついた骨片や人工骨とともに幹細胞を注入し、治療の安全性や効果の検証をめざす。
同病院整形外科の中村孝志教授らによると、患者の骨盤から0.1リットルの骨髄液を採取し、液中の0.01%ほどある幹細胞を約3週間かけて約5000万個まで培養する。壊死した患部を取り除き、血管のついた患者の骨片や人工骨と一緒に幹細胞を埋め込む。
幹細胞を使った臨床試験は、安全性チェックなどに関する国の指針が昨年9月に施行された。京都大の臨床試験は、大阪大、国立循環器病センターとともに新指針施行後初めて国から了承された。
《朝日新聞社asahi.com 2007年12月07日より引用》