卵子だけで誕生したマウス、3割が大人に DNAを操作
2007年08月21日14時53分
父と母ではなく、母2匹の遺伝情報を受け継いだ胎児を、卵子を操作することで効率良く誕生させることに、東京農業大の河野友宏教授らが成功した。哺乳(ほにゅう)類の子づくりにおける精子と卵子の役割をはっきりさせる研究の一環で、19日付米専門誌ネイチャーバイオテクノロジー電子版に発表した。
河野教授らは、04年、精子を使わず卵子だけを操作した「二母性胚(はい)」からマウスを誕生させ、「かぐや」と名付けた。しかし、当時の成功率は低く、246個の胚から正常に生まれたのは2匹だけだった。
精子と卵子は、性にかかわる部分を除いて、基本的に同じ遺伝子がそろっている。ただし、精子由来、卵子由来のいずれか一方のみの遺伝子が働く、「刷り込み」と呼ばれる現象があるため、精子と卵子がそろわないと、子供は誕生しない。
「刷り込み」にかかわる特定のDNA配列に注目。かぐやの時は1カ所の配列を操作しただけだったが、今回は2カ所を操作して子宮に戻したら胚から3割以上が大人になることがわかった。
「哺乳類の発生には、この2カ所の配列が重要な役割を果たしていることがはっきりした」と河野教授は話している。
《朝日新聞社asahi.com 2007年08月21日より引用》