コピー豚、第4世代に クローン技術で再生医療に弾み
2007年08月07日09時55分
動物の遺伝的コピーを作る体細胞クローン技術を繰り返し使い、豚のコピー(第1世代)のコピーのコピーのコピーに当たる「第4世代」を作ることに、明治大の長嶋比呂志教授(発生工学)らが成功し、6日発表した。同じ条件の豚を、豚の通常の一生を超えるような長期間、実験に使えることになる。豚は人間と体の仕組みが似ており、再生医療研究などに弾みがつきそうだ。
長嶋教授らは、これまで作ってきた「第3世代」の健康な豚から取った細胞から作製したクローン胚(はい)50個ほどを代理母・豚の子宮に移植。先月23日に3頭が生まれ、2頭が正常に育っているという。長嶋教授によると「世界初」という。
紙のコピーも、何度か繰り返すうちに画質が劣化するように、体細胞クローン技術でも遺伝子に傷のようなものがつくと考えられ、何回までコピーできるのかはよくわかっていない。マウスでは理化学研究所などのグループが「第6世代」を作製している。また長嶋教授らはベンチャー企業のバイオスと共同で、人間の糖尿病に似た病気を発症するモデル豚の作製にも成功した。生後数日で、糖尿病の症状がみられ、解剖でインスリンを作る膵臓(すいぞう)の細胞に異常も確認できたという。
今回の「第4世代」クローン技術を糖尿病モデル豚に応用すれば、かなり長い間研究を続けることができるという。
《朝日新聞社asahi.com2007年08月07日より引用》