20070703

プリオン異常化防ぐ物質を発見 ヤコブ病治療薬開発に道


2007年07月03日10時14分

人のクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)や牛海綿状脳症(BSE)の病原体である異常プリオンたんぱく質が増えるのを抑える物質を、岐阜大の桑田一夫教授(構造生物学)らが見つけた。発病させたマウスに与え、寿命が延びる効果を確認した。治療薬開発の基礎になる成果で、米科学アカデミー紀要電子版で今週、発表する。

CJDやBSEは、異常プリオンによって、脳内にもともとあった正常プリオンが次々に異常化し、蓄積して起こると考えられている。桑田さんらは、正常型の不安定な部分を核磁気共鳴という方法で特定。この部分を固定し、異常型への変化を防ごうと、ぴったり合いそうな化合物を32万種類の中から探した。

44種類の候補のうち、GN8という化合物が異常化を防ぐことを培養細胞で確認した。これを、異常プリオンを接種したマウスに一時的に注射したところ、4カ月程度の平均寿命が、18日ほど延びたという。

CJDにはいくつかの治療薬候補が試みられてきたが、決定的なものはまだない。GN8は皮下注射でも脳に運ばれやすいなど利点があり、より効果を高められる細部の化学構造を検討中だ。

桑田さんは「治療薬の基本骨格を作用するメカニズムとともに明らかにできた。研究を重ねて治療薬に結びつけたい」と話している。

 

《朝日新聞社asahi.com2007年07月03日より引用》

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