ヒトクローン胚作製 異常受精卵からも認める方針
2007年06月26日23時13分
文部科学省の人クローン胚(はい)研究利用作業部会は26日、これまで未受精卵の利用を前提に検討してきた研究目的のヒトクローン胚作製を、一部の受精卵を使う場合にも認める方針で合意した。新たに認めるのは、異常のため生殖医療に使われず廃棄される受精卵の利用で、今後、実施のための条件を詳しく詰める。
国内では受精卵の扱いを巡り、ヒト胚性幹(ES)細胞の作製をめぐる指針づくりの過程で「生命の萌芽(ほうが)」としつつ、研究目的に限って壊すことを認めている。ただ、これまでのクローン胚は未受精卵から作る技術しかなかったため、国の総合科学技術会議でもヒトクローン胚の作製・利用について、未受精卵の利用を前提に容認する報告書をとりまとめていた。
今回の方針変更は、米ハーバード大チームがマウスの異常な受精卵を使って、クローン胚作製に成功したのをうけたもの。将来的にはヒトでも可能とみられ、利用できる卵の対象を広げることでクローン胚作製の機会を増やす狙いがある。
作業部会では当初、あくまでも受精卵を「生命の萌芽」として改めて慎重な扱いを求める意見と、ヒトES細胞をめぐる指針づくりで議論は終わっているとする意見が出た。最終的には、受精卵の異常を理由に廃棄・利用に同意された胚について、クローン胚作製に使うことを認める方向で進めることにした。
一方、この日の部会では、分化が進んでクローン胚作製に使えないと通常みられる正常な受精卵でも、クローン胚づくりが可能なことを示唆する同じハーバード大チームの研究が紹介された。
これについては「廃棄する必然性のない正常な受精卵を使ったクローン技術にもつながる可能性がある」として、あらためて慎重な審議が必要とする意見が複数の委員から出された。
《朝日新聞社asahi.com2007年06月26日より引用》