米牛肉 綱引き本格化 米施設検証終了
2007年06月14日
世界で最も厳しいとされる米国産牛肉に対する日本の輸入条件緩和に向け、動きが近く本格化する。すべての日本向け米食肉処理施設が条件を守っているとの査察結果をまとめた農林水産・厚生労働両省は13日、自民党の了承を得て、条件が守られているか点検・検証する期間を終えると決定。昨夏の輸入再々開時から続けてきた全箱検査も併せて終えるなど、米国産牛肉問題は大きな節目を迎えた。
検証期間を終え、今後は米政府が重ねて要請している輸入条件の緩和が焦点になる。日米両政府は、月内にも条件緩和に向けた協議に入る。
日米が合意している現在の輸入条件は、日本が牛海綿状脳症(BSE)のリスクが低いと判断している月齢20カ月以下で特定危険部位を除去したもの。国際標準は月齢30カ月以下で、日本市場向けに特別の品質管理を求められてきた米食肉業者には、不満が募る。
国際獣疫事務局(OIE)は5月、米国を月齢を問わずに牛肉を輸出できる「準安全国」に認定した。このため、米政府は「日本の条件は国際的な基準にそぐわない」と指摘する方針だ。日米協議では、月齢条件の撤廃か30カ月以下への引き上げを軸に議論が進むとみられる。
米農務省は今年後半~来年初めにも、緩和の結論が得られることを期待している。米議会からは、長引けば世界貿易機関(WTO)への提訴を求める声が上がっている。
農水、厚労両省は13日、米側の条件順守態勢について「特段の問題はない」と正式に発表。昨夏から続けてきた検証期間を終えることも公表した。
期間中は輸入業者が輸入牛肉の箱をすべて開けて中身を点検する「全箱検査」を実施していたが、今後は国による抽出検査になる。これまでに発見された胸腺など米政府の証明書に記載がない肉や内臓は、いずれも日本の水際で確認されたため、監視力の低下を懸念する声もある。
これに対し、姫田尚・農水省動物衛生課長は「全箱検査も万全とは言い切れない」と指摘。米側が、これまでのような人的ミスを繰り返さないよう出荷システムを改善したことを査察などで確認したとして、「どの国も絶対に安全ということはない。リスクを減らすのが、われわれの仕事だ」と理解を求める。
《朝日新聞社asahi.com2007年06月14日より引用》