20070403

米韓FTA、正式に合意


2007年04月03日

【ソウル=神谷毅、ワシントン=西崎香】米国と韓国の両政府は2日、自由貿易協定(FTA)交渉を正式合意した、と発表した。最大の争点となっていたコメの市場開放について米国が譲歩し、FTAには盛り込まないことで、双方が歩み寄った。=2面に「時時刻刻」

韓国政府によれば、FTAが発効すれば、米国との間の「モノ」の貿易で課されている関税は、韓国側が99%以上、米国側は100%撤廃される。

韓国の盧武鉉(ノムヒョン)大統領は2日夜、テレビ出演して国民向け談話を発表し、「FTAによって農産物の輸入が増え、農民の所得が減るようならば、国家が所得補償する。職を失った場合も、国が補償する」と言明した。さらに、「米国の要求は甘くなく米議会の圧力も大きかったが、徹底的に損益計算を行い、我々の利益を貫徹した」と述べ、FTA合意に理解を求めた。

ブッシュ大統領は1日、米議会にFTAの承認を求める書簡を送り、今回の合意が農家や畜産業界などの輸出を促進することを強調。雇用創出だけでなく、「アジアの安定と繁栄の力になっていた強い米韓パートナーシップをさらに強化する」とした。

合意では、牛海綿状脳症(BSE)を理由に認めていなかった米国産骨付き牛肉の輸入について、韓国側が事実上、解禁を認めた。約40%の牛肉関税も、韓国は15年かけて撤廃する。オレンジも7年、豚肉は10年かけて関税をなくす。

一方、米国は、韓国からの輸入品に課している関税を、排気量3リットル未満の自動車と自動車部品については即時に撤廃。3リットル以上の大型車についても、3年で関税を撤廃する。韓国側も、大型車ほど税率が高くなる国内税制の改正を、部分的に受け入れた。

また、北朝鮮の開城工業団地で韓国企業が生産する製品は、朝鮮半島の非核化などを条件に、「韓国製」と認める方向で調整することになった。

ただ、FTA発効には議会の承認が必要。米韓とも議会には批判的な意見も多く、承認までには曲折も予想される。

 

◆キーワード

<自由貿易協定(FTA)> 特定の国や地域との間で、モノの関税やサービス貿易の障壁などを撤廃する取り決め。FTAを柱として、知的財産権制度や投資保護ルールなどにまで障壁撤廃の対象を広げた経済連携協定(EPA)を結ぶケースも増えている。世界貿易機関(WTO)を舞台に多国間で進めている自由化交渉が難航しているため、各国とも最近はFTA、EPAの締結に通商政策の軸足を移している。

 

《朝日新聞社asahi.com 2007年04月03日より抜粋》

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