他地域へ波及警戒 韓国で強毒性発生 鳥インフルエンザ
2007年01月12日13時07分
宮崎県の養鶏場で、鳥インフルエンザに感染した疑いのある鶏が見つかった。韓国では今冬、毒性の強い鳥インフルエンザH5N1型が複数の養鶏場で発生しており、専門家の間では、渡り鳥などによる日本国内への波及を警戒する声が上がっていた。農林水産省も予防対策の徹底を各都道府県に求めていた。
京都産業大の大槻公一教授(獣医微生物学)は、04年に山口県や京都府、大分県で発生したケースと比べて「状況が酷似している」と指摘する。この時も季節は冬で、韓国で相次いで発生が確認されていた。
大槻教授は「まず渡り鳥がウイルスを運んだ可能性を考える必要がある。今後、ほかの地域で発生する可能性もあり、特に西日本では養鶏場の監視を強化し、消毒などの対策をとる必要がある」と話す。
農水省は11日夜、小林芳雄事務次官ら幹部職員が緊急に対策を協議。12日朝から同省の高病原性鳥インフルエンザ対策本部を開き、宮崎県にも同省の専門担当官を派遣する。宮崎県は地鶏の産地で、同省によると、大量死した鶏が見つかった農場から半径10キロ圏内には、十数軒の養鶏場があるという。
H5N1型は、中国青海省の青海湖で05年に、H5N1型に感染して死んだ大量の渡り鳥が見つかって以降、欧州やアフリカ、中東でも見つかっている。渡り鳥がウイルスの運び役とみられている。
世界保健機関(WHO)のまとめによると、03年以降、これまでにインドネシアやベトナムなど10カ国で264人がH5N1型に感染、うち158人が死亡している。このため鶏で感染が見つかった場合は早急に殺処分する必要がある。
《朝日新聞社asahi.com 2007年01月12日より引用》