精子の保存期間、夫の生存中に限定 産科婦人科学会
2006年12月16日
生殖補助医療に使われる精子の凍結について、日本産科婦人科学会は16日、都内で理事会を開き、保存期間を「本人が生きている間」に限り、死亡した場合は廃棄とする会告(指針)案をまとめた。凍結精子を使い、夫の死後に生まれた子どもの認知を、最高裁が認めないとする判決もあり、学会として、「親の希望よりも子の福祉」を優先させるという姿勢を明確にした。
指針案は今後、学会員の意見を聞いた上で、来年4月に行われる総会で正式決定される。
精子の凍結は、人工授精や体外受精などの不妊治療の際に行われる。抗がん剤や放射線などのがん治療による影響を考え、将来、子どもが欲しい場合、事前に凍結しておくこともある。
今回まとめた指針案では、今後、凍結精子を使用する場合、その時点で本人が生存していることを確認する。本人が廃棄の意思を示すか死亡した時は、廃棄される。精子の売買も認めない。
最高裁は今年9月、夫の精子を死後に利用して生まれた子どもと、父親の親子関係を認めるように訴えた妻の請求を、「死後生殖について民法は想定していない」として、認めない判決を出している。これを受け、学会としての指針を示す必要があると判断した。日本生殖医学会も、精子の凍結保存期間は本人が生存中に限るとするガイドラインをつくっている。
《朝日新聞社asahi.com 2006年12月16日より引用》