20060929

E型肝炎ウイルス、100年前日本に 輸入ブタで感染か


2006年09月29日

海外でかかる病気と数年前まで考えられていたE型肝炎のウイルス(HEV)は、約100年前に日本に持ち込まれていたらしいことが、厚生労働省研究班(班長=三代(みしろ)俊治・東芝病院研究部長)の調査でわかった。明治時代に英国から輸入されたブタと一緒に国内に入ってきた可能性などが考えられるという。

国内の感染経路調査の一環として、患者48人から検出されたHEVの遺伝子を溝上(みぞかみ)雅史・名古屋市立大教授(臨床分子情報医学)らが分析した。

ウイルスの遺伝子は年月とともに少しずつ変化する。その違いを基に、国内のウイルス同士や海外のウイルスとの近縁度、枝分かれの時期を計算したところ、国内にある2タイプのHEVは、いずれも1900年前後に海外から入ってきたと考えられた。

このうち、本州に多いタイプは英国のウイルスと近縁だった。富国強兵で兵士の体力増進のため肉食を広げようと、英国から輸入された種ブタがウイルスを運んできたとみられる。北海道で多い別のタイプも、やはり約100年前に渡来し、80年代以降に国内で急速に広がったらしい。

E型肝炎は、HEVに汚染された水や食べ物から経口感染する。人から人への感染の報告はない。通常は一過性でB、C型のように慢性化はしないが、まれに劇症肝炎になり、死亡することもある。根治療法がないため予防が大切だ。ブタやイノシシなどの肉を食べるには火をよく通し、焼くはしと食べるはしを分ける必要があるという。

 

《朝日新聞社asahi.com 2006年09月29日より引用》

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