受精卵診断で2組出産 慶応大、初の学会承認例
2006年09月22日01時03分
慶応大学の吉村泰典教授らは、体外受精させた受精卵のうち遺伝子異常のないものだけを母親に戻す受精卵診断を4組の夫婦に実施して、うち2組が出産したと、21日、長野県軽井沢町で始まった日本受精着床学会で報告した。日本産科婦人科学会(日産婦)の手続きに従った受精卵診断では、初の出産例だ。
吉村さんによると、受精卵診断を受けたのは、遺伝的にデュシェンヌ型筋ジストロフィー病の子どもが生まれる可能性の高い4組の夫婦。遺伝子に異常のない受精卵を計7回、母親の胎内に戻した結果、2組が今年3月と6月に出産した。デュシェンヌ型筋ジスは筋力が徐々に低下する病気で心臓や肺の機能にも障害が広がり、若くして命にかかわる。
日産婦は04年7月に、国内で初めて慶応大の受精卵診断の申請を承認。以降、20例の申請があり、慶応大の計6例、名古屋市立大の1例を承認している。ほかに、日産婦の手続きを経ず、習慣流産を防ぐなどの目的で受精卵診断を行い、出産した例もある。
日産婦倫理委員会の委員長も務める吉村さんは「今回、学内と学会の審議で合わせて約1年かかった。反対もある以上、丁寧に合意を得る努力が必要な一方、子どもを望む人にとって1年が長すぎる場合もある。半年ほどで審議が終わるシステム作りを目指したい」と言っている。
《朝日新聞社asahi.com 2006年09月22日より引用》