330万年前の猿人女児の化石、ほぼ完全な形で発見
2006年09月21日06時05分
- アファール猿人の女の子の化石=エチオピア文化遺産研究保存機関提供
- アファール猿人とホモ属
約330万年前にエチオピア北東部にいた人類祖先の幼児の全身化石が見つかり、国際チームが21日発行の英科学誌ネイチャーに発表する。これほど古い時代の幼児化石がほぼ完全な形で見つかったのは初めてで、進化の解明に役立ちそうだ。
独マックスプランク研究所などが参加する国際チームが見つけたのは、アファール猿人(アウストラロピテクス・アファレンシス)の化石。3歳の女の子が洪水によって砂に埋まってしまったものと推定された。幼児の骨はもろくて残りにくく、これまで全身化石は、現代人と同じホモ属だが約3万年前に絶滅したネアンデルタール人などに限られていた。
頭の骨の大きさは、アファール猿人の大人の63~88%。チンパンジーは3歳で大人の90%以上になり、ゆっくり成長する点で人類に近いことがわかった。3歳でも直立歩行ができたが、肩の骨はゴリラに近く、長く曲がった指をもち、木にぶらさがって移動する樹上生活に適した特徴ももつ。舌を動かす筋肉を制御する骨も、人類よりゴリラに近かった。
国立科学博物館の馬場悠男・人類研究部長によると、アファール猿人の1個体の骨がほぼ完全な形で見つかったのはめずらしく、全身の特徴をはっきり示した貴重な化石だという。
《朝日新聞社asahi.com 2006年09月21日より引用》