「いくつになっても勉強」 学習用神経細胞は生き残る
2006年08月14日
「人生いくつになっても勉強」――そんな格言の正しさを示すような動物実験の結果を、米ソーク研究所グループが14日、英科学誌ネイチャー(電子版)に発表した。大人になっても神経細胞は新たに生まれ、学習や記憶に使われた神経細胞だけが生き残って神経回路に組み込まれる可能性が高いらしいという。
グループは、遺伝子操作したマウスで学習や記憶にかかわる脳の領域で新たに生まれた神経細胞に蛍光色素を組み込んで見分けられるようにした。同時にこの神経細胞で特定の神経伝達物質の受容体が働かず、情報を受け取れないように遺伝子操作したマウスもつくった。
両方のマウスを比べると、情報を受け取れなくしたマウスでは、新たに生まれた神経細胞の生存率が4分の1に低下していた。
グループの田代歩さん(現ノルウェー科学技術大学研究員)は、「情報を受け取れない細胞は死に、情報を受け取った細胞が生き残って回路に組み込まれた。新たにできる神経回路には、学習した特定の情報が刻みこまれていることが示唆された」と言っている。
《朝日新聞社asahi.com 2006年08月14日より引用》