20060727

米国産牛肉の輸入再開を決定 農水・厚労省


2006年07月27日12時37分

今年1月20日から停止している米国産牛肉の輸入の再開が27日、正式に決まった。船便での輸送に2週間程度かかるため、国内のスーパーや飲食店に登場するのは8月になりそうだ。しかし、消費者の間には米国産牛肉の安全性への不信感が募っており、販売再開に慎重な業者も多く、売り上げがどれだけ回復するかは不透明だ。

農林水産省と厚生労働省は27日正午から牛海綿状脳症(BSE)対策本部を開き、米国産牛肉の輸入再開を正式に決めた。川崎厚労相と宮腰光寛・農水副大臣が記者会見を開いて発表する。同日中に内閣府食品安全委員会と米政府に報告し、輸入再開に向けた一連の手続きが終わる。

昨年12月にいったん輸入を再開した時は、航空便で米国産牛肉を輸入する業者もいたが、今回は農水省によれば「消費者の米国産牛肉離れを反映して、費用が安い船便での輸入が中心となる」という。日本の港などで検疫態勢を強化したため、輸入手続きにかかる時間も増える見通しだ。

米国産牛肉の輸入量は停止前は月2万トン前後だったが、業界関係者によれば「再開直後は停止前の1割程度にとどまる」見通し。BSEの原因物質が蓄積しにくい20カ月以下の若い牛に限定されたうえ、米国産が締め出されている間に、安い豪州産牛肉の販売が増えているためだ。

米国からの輸入は徐々に増える見通しだが、ステーキ用は03年当時の輸入量をほぼ回復するものの、一頭からとれる量が少ない牛丼用のバラ肉やタンは停止前の2割程度と予測されている。

牛丼チェーンの吉野家ディー・アンド・シーは、一定量の米国産牛肉を確保したうえで、9月下旬をめどに牛丼の販売を再開する予定。一方、イトーヨーカ堂やイオンなど大手スーパーは、消費者の理解が得られていないことを理由に当面は販売を見送る方針だ。

日本政府は今回の輸入再開決定に当たり、専門家を米国に派遣し、6月下旬から約1カ月かけて35の牛肉処理施設を査察した。34施設では深刻な問題はなかったとして輸入再開を認める。事前査察した35施設以外からの輸入は約半年間は認めないという。

米国産牛肉の輸入は、米国内で初のBSE感染牛が確認された03年12月にいったん停止された。日米政府間の協議で、(1)BSEの原因物質が蓄積しやすい脳などの「特定危険部位」を除去する(2)生後20カ月以下の若い牛肉に限定する、ことなどを条件に、輸入を再開することで合意した。

05年12月に輸入が再開されたが、今年1月20日に成田空港での検疫で特定危険部位の背骨が混入している牛肉が見つかったため、再び輸入を全面的に停止した。

日米政府は再び協議を続け、日本の専門家が米国内の35の牛肉処理施設を事前査察し、特定危険部位の除去態勢が整備されているかを確認することなどを条件に、輸入再開で合意していた。

 

《朝日新聞社asahi.com 2006年07月27日より引用》

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