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鳥インフル、インドネシアで拡大 死者世界最多の42人


2006年07月21日00時03分

世界保健機関(WHO)当局者は20日、2週間前に死亡したジャカルタ在住の男性(44)が鳥インフルエンザウイルスに感染していたと明らかにした。インドネシアの死者数は42人となり、ベトナムと並んで世界最多となった。ただ、ベトナムでは鶏の大量殺処分などで封じ込め、今年は感染報告がない。インドネシアでは政府の対応が遅れ、最速のペースで感染が拡大している。

ジャカルタ郊外にあるバンテン州ガルット村。75カ所の大規模な鶏小屋があり、30万羽以上が飼われる「養鶏の村」だ。20日、農業局と地元大学が協力し、鳥インフルエンザの講習会を開き、50人ほどが参加した。

専門家が「死んだ鳥は素手で触ってはいけない。もし高熱やのどの痛み、下痢などの症状が出たら、直ちに保健所に行ってください」と説明すると、村人はメモをとりながらうなずいた。

インドネシアでは03年に鳥への大量感染が判明。05年7月にジャカルタ郊外で初めて人への感染が報告され、その後わずか1年で急速に広がった。

政府は昨年12月、鳥インフルエンザ対策の戦略計画を発表。今年3月には省庁横断的な国家委員会も設置した。バユ・クリスナムルティ事務局長(経済担当調整副大臣)は「できる限りの手は打った」としながらも、いくつかの問題点も認める。

その一つが、ワクチン接種の限界。都市部の一般家庭で飼う家禽(かきん)までは手が回っていない。WHOによると、感染者の9割までは都市部の住民だ。

国際社会の支援も遅れている。1月に北京で開かれた国際会議で11億ドルの拠出が約束されたが、先月までの拠出額は3億ドルに満たないという。

一方で、インドネシアが「ウイルス封じ込めに極めて有効」(WHO)とされる家禽類の殺処分に踏み切っていないことに批判が出ている。

政府は、殺処分に消極的な理由として予算不足を挙げる。現在、殺処分された家禽に対する1羽あたりの補償金は1万ルピア(約130円)だが、「少なくとも2万5000ルピアをもらわなければ、割に合わない」(養鶏業者)と反対の声が強い。

 

《朝日新聞社asahi.com 2006年07月21日より引用》

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