ハーバード大、ヒトのES細胞研究に着手
2006年06月07日
米ハーバード大は6日、同大の研究所などでヒトのクローン胚(はい)を使った胚性幹細胞(ES細胞)つくりに着手した、と発表した。米ブッシュ政権はヒトのES細胞研究への連邦政府予算支出を原則として禁じているが、世界に後れをとりかねないと危惧(きぐ)する研究者の声を大学側が受け入れた。
米国では、カリフォルニア州、メリーランド州など5州が、ブッシュ政権の方針に反して州予算をES細胞研究に投じることをすでに認めており、米国内での研究が今後、さらに拡大する可能性も出てきた。
ハーバード大の計画では、糖尿病や血液疾患の患者の遺伝子を移植したクローン胚から、あらゆる組織に成長する能力をもつES細胞を作り、病気の原因や治療法などを探る。研究費は民間からの寄付などでまかなう。
米国ではキリスト教保守派を中心に、「胚を壊すのは中絶と同じ」と研究に強い反対がある。
研究着手の理由について、ハーバード大のサマーズ学長は「研究に反対する人々の誠実な信仰心に敬意を払うと同時に、われわれは人間の生死にかかわる医学的な必要性にも誠実に対応しなければならない」と話した。
《朝日新聞社asahi.com 2006年06月07日より引用》