人クローンES細胞指針固まる 卵子提供条件など
2006年06月06日
クローン胚(はい)からさまざまな組織になり得る胚性幹細胞(ES細胞)をつくる研究について、文部科学省の作業部会は6日、大もとになる卵子の提供条件などを盛り込んだ指針案を固めた。韓国ソウル大チームの論文捏造(ねつ・ぞう)による教訓を反映した内容で、報告書として、今秋にも政府の総合科学技術会議(議長=小泉首相)に諮問する。
クローン胚は卵子(未受精卵)から核を抜き、皮膚など体細胞の核を移植するもの。指針案では、病気のために摘出した卵巣や、不妊治療で必要がなくなった卵子の無償での提供を認めた。ボランティアによる提供は当面認めないが、実施条件の検討を続けることにした。
卵子の提供を受ける機関に提供者の相談に応じるコーディネーター(調整役)の配置を義務づけた。提供を強いる不正な圧力がかからないよう、女性研究者やその親族、将来治療の対象となり得る難病患者からの卵子提供は禁じた。
また、韓国ソウル大チームによるクローンES細胞研究の捏造が発覚して、人クローンES細胞が実現可能かはっきりしなくなったため、研究機関にサルなど霊長類での十分な研究実績を積むことも求めた。
今回の指針案は、クローン人間の作製を禁じたクローン技術規制法の特定胚指針を改定して、反映される予定だ。
《朝日新聞社asahi.com 2006年06月06日より引用》