20060606a

ヒトES細胞から神経細胞 理研と京都府立医大


2006年06月06日

いろいろな組織や臓器に育つ可能性があるヒトの胚(はい)性幹細胞(ES細胞)から、高い効率で神経細胞を作る方法を、理化学研究所と京都府立医科大の研究グループが開発した。神経細胞はいったん損傷すると自然には回復しにくく、「神経細胞移植」によるパーキンソン病など神経系の難病への治療法開発が期待されるという。米科学アカデミー紀要の今週の電子版に発表する。

ES細胞を、ヒトの羊膜(胎児を包む膜)の上に乗せて培養した。ネズミの骨髄由来の細胞などが必要だったこれまでの培養方法より感染症になる心配が少なく、神経細胞を治療に使う時の安全性が高まるという。

理研発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の上野盛夫・客員研究員らが、京大再生医科学研究所で作られた国産ヒトES細胞を使って研究。羊膜と一緒に1カ月以上培養すると、パーキンソン病の治療用に期待されるドーパミン神経細胞や、運動神経細胞、網膜色素上皮細胞、水晶体組織などに高い率で変わることを確かめた。

羊膜細胞の外側にあるたんぱく質や多糖類などに含まれる成分が、ES細胞に働きかけて、神経細胞を作り出すとみられている。

 

《朝日新聞社asahi.com 2006年06月06日より引用》

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です