ES研究で卵子提供医療機関、コーディネーター義務化へ
2006年05月30日
人クローン胚(はい)からの胚性幹細胞(ES細胞)づくりには再生医療の実現に向けた期待がかかるが、出発点になる卵子の提供に際して、提供を受ける医療機関は提供者の相談に乗ったり意思を確かめたりするコーディネーター(調整役)の配置を求められることになりそうだ。人クローン胚研究の指針をつくっている文部科学省の作業部会が、方針を固めた。
人クローン胚は、提供された卵子(未受精卵)の核を抜き、代わりに患者の体細胞の核を移植してつくる。作業部会は、病気の治療で摘出した卵巣からの卵子や、不妊治療で必要がなくなった卵子の無償提供を想定している。医療行為と無関係なボランティアからの卵子提供は将来検討する。
コーディネーターは提供者と利害関係がないことが大前提で、医師や看護師など医療スタッフによる兼任が考えられている。医学的に十分な知識を持ち、患者の相談に応じながら、提供者の意思に反して手続きが進むことや、提供に向けて何らかの圧力がかかるのを防ぐ役割を担う。30日午前の会合で詳細な条件を詰める。
研究用の卵子提供をめぐっては、韓国ソウル大チームによるクローンES細胞研究の論文捏造(ねつぞう)の過程で、卵子提供者への金銭支払いがあったことが問題になり、提供の透明性や公正さの確保が課題とされていた。
《朝日新聞社asahi.com 2006年05月30日より引用》