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和牛を守れ!家畜の知的財産保護を政府が本格検討


2006年04月14日02時47分

知的財産としての保護が検討されている黒毛和牛の親子=農林水産省提供

知的財産としての保護が検討されている黒毛和牛の親子=農林水産省提供

肉の柔らかさ、おいしさに定評がある和牛を、知的財産として保護する方針を政府が固めた。和牛の精液などが海外に持ち出され、現地の牛と掛け合わせた子牛や牛肉の逆輸入が横行。今後、純粋な和牛の遺伝子を知的財産と位置づけ、交雑牛が「海賊版」の和牛として売られたり、逆輸入されたりするのを防ぐ法制度の整備を急ぐ考えだ。

知的財産としての保護が検討されている黒毛和牛の親子=農林水産省提供  国内の取り決めでは、和牛と表示できる牛は黒毛和牛など4品種。異なる品種の和牛同士の掛け合わせは和牛と表示できるが、乳用牛や別な品種の肉牛との交雑種は「国産牛」と表示される。

植物の新品種の開発者には、特許権と同じ知的創造物についての権利である育成者権が与えられる。開発した種子が海外に持ち出されても、栽培された果実や野菜などの輸入を差し止めて権利を保護している。

これに対し、和牛の遺伝資源の海外への持ち出しや交雑牛の逆輸入を制限する制度はない。交雑牛が海外で和牛として売られている例も目立つ。

豪州からは毎年、和牛と肉牛などの交雑牛が2万頭以上も子牛で輸入されている。国内で肥育され出荷されるが、国内肥育期間が海外より長ければ「国産牛」として販売できる。「和牛の血をひいているだけに、値段が安くても肉が柔らかく上質な交雑牛が多い」(農林水産省幹部)という。

農水省は18日、知的財産権や獣医学の専門家らをメンバーとする検討会を発足させ、和牛の遺伝資源を保護する法制度の研究を始める。和牛のおいしさや、サシ(肉の脂肪分)のもとになる遺伝子配列をDNA解析で突き止め、「遺伝子特許」として申請することを検討する。

 

《朝日新聞社asahi.com 2006年04月14日より引用》

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