BSE基準緩和に反対相次ぐ 専門家会合
2006年02月07日22時11分
農林水産、厚生労働両省は7日、牛海綿状脳症(BSE)の国際的な安全基準について検討するため、家畜伝染病や食品安全の専門家らによる会合を都内で開いた。家畜の安全基準を定める国際機関、国際獣疫事務局(OIE)は、日本など加盟国にBSEの安全基準を緩和する改訂案を提示している。これに対し、出席者からは「科学的な根拠が明らかでない」などの批判が相次いだ。政府は14日の消費者との意見交換会を経て、改訂案に反対する方針を正式に決める見通しだ。
改訂案は、現行では「生後30カ月以下」としている自由に貿易できる骨なし牛肉の条件を見直し、月齢制限を無くすことなどが柱。OIEは5月の総会で新基準を決める予定だ。
会合後、山内一也委員(日本生物科学研究所主任研究員)は記者団に対し、改訂案について「科学的な根拠が薄く、牛肉の輸出国である米国にとっては非常に有利な案。反対すべき項目がいくつかある」と批判した。
OIE基準は「目安」で、各国の安全基準は拘束しないが、世界貿易機関(WTO)の判断根拠となる。新基準が決まると、米国が「20カ月齢以下の牛に輸入対象を限定する日本の基準が厳しすぎる」とWTOに訴えた場合、日本は不利な立場に追い込まれる。
《朝日新聞社asahi.com 2006年02月07日より引用》