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精子の細胞卵にも育つ 東京海洋大、ニジマスで実験


2006年02月07日

ニジマスのオスから採った精子のもとになる細胞(精原幹細胞)を、メスの稚魚に移植すると、その細胞が卵に成長することを、東京海洋大学の吉崎悟朗・助教授(海洋生物資源学)らが明らかにした。精子になるはずの細胞が卵にもなる能力を持つことを示したのは初めて。オスがいれば精子も卵もつくれることになり、絶滅の恐れのある魚の保護などに応用できる可能性がある。

今週の米科学アカデミー紀要(電子版)に発表される。

吉崎さんらは、ニジマスの成魚の精巣から精原幹細胞を取り出し、約1万個をメスの稚魚の腹部に入れた。約40%のメスで、数個の精原幹細胞が生殖腺に取り込まれ、卵巣に移動して卵のもとになる細胞に分化したことを確認した。

この稚魚を2~3年間飼育して成熟させ、卵を産ませたところ、精原幹細胞由来の卵も通常の卵と同じように精子と受精する能力を備えていた。

吉崎さんによると、メスが絶滅してオスしか残っていない魚でも、精原幹細胞を近縁の魚のメスに入れることで、絶滅が危惧(きぐ)される魚自体の卵を産ませることができるという。その卵をオスの精子と受精させることで、絶滅しかけた魚を復活させることが期待できる。

吉崎さんは「メカニズムを解き明かし、絶滅の恐れのある魚の復活に応用できるようにしたい」と話している。

 

《朝日新聞社asahi.com 2006年02月07日より引用》

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