20060202

鳥インフル確認、宙に浮く250万羽 茨城の養鶏場


2006年02月02日17時44分

昨年鳥インフルエンザが相次いで確認された茨城県の8養鶏場で、253万羽の鶏が処分が決まらないままになっている。ウイルスは検出されておらず食肉として出荷できるものの、専門の加工業者が、取引先の不安などを理由に受け入れに難色を示しているためだ。長いところではすでに5カ月、あてのないまま飼育が続いている。農林水産省と県は、主に豚や牛の処理をしている業者との交渉を始めた。

253万羽がいる八つの養鶏場では、過去の感染歴が確認された鶏が見つかったものの、ウイルスそのものは検出されていない。すぐに処分する対象ではなく、昨年8月下旬以降、順次、その養鶏場内で県が監視下に置いてきた。

感染歴のない「おとり鶏」を使った2回の検査でウイルスが検出されなかったため、すべての養鶏場で1月30日までに監視を解除。食肉への加工を前提とした出荷も認められた。

しかし、多くの鶏肉加工業者は受け入れに消極的だ。取引先の養鶏場が「感染鶏の見つかった養鶏場にも出入りする鶏肉加工業者を通して、自分たちの鶏も感染する危険がある」と反対している▽一部の養鶏場の従業員が鳥インフルエンザに感染した可能性が明らかになり、鶏肉加工に際して自分たちが感染する懸念もある――などが二の足を踏む大きな理由。消費者の反応が未知数であることも影を落としている。

食肉向けの出荷ができないまま飼育が長引けば、養鶏業者の負担は重くなる。エサ代などがかさむだけで産卵鶏としての価値も下がっていく。

ある養鶏会社の幹部は「食用としての出荷が無理なら、殺処分や焼却処分でも仕方がない。とにかく養鶏場から出して、代わりに新しい鶏を入れなければ、再起が難しくなる」と話す。

この幹部によると、鶏卵の需要が高まる秋口に規格に合った大きさの卵を出荷できるようにするには、3月には新しい鶏の飼育にとりかからなければ間に合わないという。

しかし、茨城県は1月25日から、監視下でウイルスが検出された養鶏場の77万羽の殺処分に追われており、253万羽までは当分手が回らない。

そこで、主に豚と牛を処理する2業者に受け入れを求めて、所在地の東京都と群馬県に協力を打診しはじめた。両業者とも処理施設の規模が大きく、253万羽を焼却処分できると判断したという。

農水省などは、感染歴しかない鶏の処理の際、人間に感染する可能性はないことや、茨城県の窮状などを説明し、両業者と周辺住民の理解を得たい考えだ。

 

《朝日新聞社asahi.com 2006年02月02日より引用》

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