染色体にヒト進化の根源? 慶大など発見
2006年01月19日
ヒトの23対ある染色体のうち8番染色体の中に、チンパンジーと比べて遺伝的な相違が大きい領域があることを、慶応大の清水信義教授(分子生物学)ら日米独などの研究グループが見つけた。脳や免疫機能に関連している遺伝子が含まれ、ヒトの進化に関与している可能性があるという。19日付の英科学誌ネイチャーに発表する。
ヒトとチンパンジーのゲノム(遺伝情報全体)を比べると、1.2%の相違がある。染色体ごとに見ると、相違が多く見つかる部分がある。
グループが8番染色体を詳しく調べたところ、染色体の片方の端に近い部分で、チンパンジーと大きく相違する領域を見つけた。この領域での違いは平均2.1%あり、部分的には3.2%も違うところがあった。
この領域には脳の大きさに関連する遺伝子や、免疫に関連する遺伝子が含まれている。ヒトの進化の過程で、同領域が大きく変化したことが「ヒトらしさ」の獲得に寄与した可能性が考えられるという。同領域には機能不明の遺伝子もあり、今後解析を進めるという。
《朝日新聞社asahi.com 2006年01月19日より引用》