「冷やすと甘くない」舌のたんぱく質特定 九大教授ら
2005年12月17日
甘みは、食べ物が冷たいと感じにくく、温めると強まる――。日常生活で経験するこの現象にかかわる、舌にあるたんぱく質を、九州大の二ノ宮裕三教授(口腔<こうくう>生理学)らとベルギー、米国の研究チームが突き止めた。英科学誌ネイチャーの最新号で発表した。
味は、舌の味蕾(みらい)にある味細胞のセンサー役のたんぱく質が検知する。それを神経に伝える中継ぎ役のたんぱく質「TRPM5」をグループは調べた。
細胞レベルの実験では、温度を上げるとTRPM5の働きが強まった。さらに普通のマウスと、TRPM5を作れないよう遺伝子操作したマウスの舌に、15~35度にした様々な種類の糖や甘味料、うまみ、酸味、塩味、苦みに関係する物質の溶液を垂らし、神経の反応を比較した。
すると、甘みに対し、普通のマウスは温度が高いほど反応も高まったのに対し、TRPM5のないマウスにはほとんど変化がなかった。甘み以外では、両者とも温度による変化はなかった。
二ノ宮教授は「細胞の同じ部分が味と温度の両方にかかわっていたのは意外だ。甘みも温度も体内のエネルギーと密接なことが関係しているのでは」と話している。
《朝日新聞社asahi.com 2005年12月17日より引用》