20180106

(かしこく選ぶ 買い物指南)大学発商品:1 商品開発の「秘話」楽しめる


2018年01月06日

■「ほとんど0円大学」編集長・花岡正樹さんに聞く

近畿大学の「近大マグロ」など、大学の教育・研究活動から生まれた商品を目にする機会が増えた。大学活用情報を発信するウェブマガジン「ほとんど0円大学」編集長の花岡正樹さん(36)は、「大学発商品には、研究に裏付けられた明確な『強み』を持つものも多い」と話す。初回は生鮮食品を取り上げる。

弘前大学(青森県)の農場で生まれた「紅(くれない)の夢」は、赤い果肉が目を引く珍しいリンゴ。交配中に偶然誕生し、2010年に品種登録された。

果肉の赤は、抗酸化作用がある天然の色素アントシアニンによるもの。通常は赤いリンゴの皮の部分にあるが、紅の夢の場合は、皮をむいた果肉を食べても摂取できるという。地元の藤崎冷蔵商会では通信販売をしており、「特選」3キロで3千円ほどだ。

花岡さんは「開発における『秘話』を楽しめるのも、大学発商品の魅力」と語る。

佐賀大学(佐賀県)の「バラフ」は、南アフリカ原産の植物アイスプラントを改良した野菜。農学部で砂漠化防止の研究を進めるなか、地表に塩分が集まる土地でも育つアイスプラントに着目したのをきっかけに誕生した。葉や茎の表面に水滴のような細胞がつく外観が特徴で、食べるとほのかな塩味がする。ミネラル分が豊富で、血糖値を下げる効果のあるピニトールも含む。大学発ベンチャー企業「農研堂」で生産・販売。全国の百貨店やスーパーで、50グラム入り1パックが200~300円程度で売られている。

「学生が関わっている例が多いのも、大学発商品ならでは」と花岡さん。帯広畜産大学(北海道)の「畜大(ちくだい)牛乳」は、学内サークル「うしぶ。」の学生らが搾乳。濃厚な味わいが特徴で、半世紀以上も地元で親しまれている。大学生協では1リットルのパックが191円で販売され、見学に訪れた一般の人も購入可能だ。この牛乳を使ったアイスクリーム(1個95ミリリットルで150円)も人気で、こちらは通信販売でも手に入れられる。

花岡さんは「大学発の生鮮食品では、売りとなる特徴が分かりやすい。そこに共感できるかが選ぶ際のポイントになる」と話す。(佐藤剛志)

【写真説明】

(上)紅の夢(弘前大学) 藤崎冷蔵商会(0172・75・2373、http://fujisaki-yume.jp/)の通販で購入できる

(中)バラフ(佐賀大学) 販売店舗の情報などは、農研堂(0952・20・1431)へ

(下)畜大牛乳(帯広畜産大学) 畜大牛乳アイスクリーム(12個ギフトセット、2400円)の通販は、キャンパスライフサポート(http://www.hokkaido.seikyou.ne.jp/obichiku/goods/)で取り扱っている

 

《朝日新聞社asahi.com 2018年01月06日より抜粋》

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です