20171121

米抜きでも3000億円規模 TPP・日欧EPA対策


2017年11月21日

政府は20日、米国抜きの環太平洋経済連携協定(TPP)、欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)の合意を受けた国内の農林水産業の支援策をまとめた。週内にも正式決定し、2017年度補正予算案に関連経費として3千億円規模を計上する見通し。米国の参加を前提にした対策も多く、過大との批判が出そうだ。

20日、自民・公明両党の会合で示された。日欧EPA関連では、影響が大きいとされるチーズなどの加工用生乳の生産者や、木材製品の生産者を支援するための補助金を拡充。EU産のパスタの関税が撤廃されるのに備え、競合する国内業者がパスタの原料となる輸入小麦をこれまでよりも安く仕入れられるようにする。

TPP関連では、金額ベースで日本向け農林水産物輸出の4割以上を占めた米国が抜けたにもかかわらず、米国離脱前の15年度と16年度にまとめた対策と同様のメニューを実施する。「米国が将来戻ることが前提」(内閣官房幹部)のためといい、安い米国産農産物の輸入増に備えた農地の大区画化や水田の畑地化といった公共事業が盛り込まれる見通しだ。

TPP関連の対策予算は、15、16年度の補正予算に各3千億円規模を計上しており、自民党農水族からは、今回も過去2回と同規模の対策を求める声が根強い。財務省幹部は「本来は内容を見直し、補正の予算規模も減らすべきだが、与党内ではそういう議論にはなっていない」と話す。(山村哲史、中村靖三郎)

 

■TPP、日欧EPA対策の主な内容

<新たに盛り込まれる項目>

・チーズ向け生乳生産者の支援強化
・林道整備や高性能の林業機械の導入支援
・国がパスタ用輸入小麦粉を製粉会社に売るときに上乗せする差益の撤廃

<従来の項目>

・主食米の国別輸入枠と同量を政府が備蓄米として買い入れ
・農地や畜産設備などの基盤強化
・牛肉や豚肉の販売価格が生産費を下回った場合に生産者に支払う交付金の水準引き上げ

 

《朝日新聞社asahi.com 2017年11月21日より抜粋》

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