20051022

フォアグラは「文化遺産」仏で法案可決 虐待批判に対抗


2005年10月22日01時28分

フランス下院は、高級食材のフォアグラ(カモ、ガチョウの肝臓)を「フランスの文化遺産」とする法案をこのほど可決した。「固有の文化」として正当化し、無理やりエサを与える肥育方法が動物虐待だとする批判をかわすのが狙いだ。

「フォアグラは保護されるべきフランスの文化・美食遺産」と定めた法案は全会一致で下院を通過、上院の議決を経て近く成立する見通し。

フランスは全世界の9割にあたる年1万8千トンのフォアグラを生産。世界中に輸出する。肝臓を太らせるため、カモやガチョウを狭い場所に閉じこめ、チューブをのどの奥に差し込んで餌を与える強制肥育が近年、動物愛護団体から「残酷」と批判される。米カリフォルニア州で昨年、強制肥育によるフォアグラの生産と販売を2012年から禁じる州法が成立するなど規制の動きも広がる。

欧州連合(EU)の家畜保護規定は、宗教・文化的な習俗は規制対象外としていることから、フォアグラを文化遺産にして先手を打った形だ。

だが、鳥インフルエンザウイルスがルーマニアなどで検出され、欧州にも拡大の懸念が出てきた。フランス人が最もフォアグラを食べるクリスマス時期に消費が落ち込むことが心配され、「製品としてのフォアグラは安全」と懸命にキャンペーンを始めた。

 

《朝日新聞社asahi.com 2005年10月22日より引用》

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