20051017

動物に育たないクローン胚 米の大学グループが開発


2005年10月17日03時01分

クローン動物に育つことができないクローン胚(はい)をつくる技術を、米マサチューセッツ工科大のグループが開発した。クローン胚は再生医療への応用が期待される一方で、子宮に移植すればクローン人間の誕生にもつながることから、研究を進めることに慎重な意見も出ていた。成果は英科学誌ネイチャーの電子版で17日、発表される。

クローン胚は、核を抜いた卵子に動物の体細胞を移植してつくる。これを仮親の子宮に戻すとクローン動物になる。内部の細胞を培養すると、あらゆる細胞に育つ能力をもつ胚性幹細胞(ES細胞)に育つ。

グループはマウスの細胞を取り出し、子宮への着床にかかわる遺伝子が働かないようにして、卵子に移した。できた胚は仮親の子宮に戻しても着床しなかった。

胚の内部の細胞を特殊な条件で育てるとES細胞ができた。普通のES細胞と同様の能力を持っていた。

自分の細胞をもとにクローン胚をつくり、ES細胞を経て目的の細胞に育てれば、遺伝情報が自分と同じなので拒絶反応のない移植治療ができるとされる。

ES細胞については、病気の人の皮膚細胞から、クローン技術を使ってES細胞をつくることに成功したと今春、韓国のグループが発表している。人の細胞でも今回と同じような操作をすれば、クローン人間が生まれる心配は少なくなる。

また、米国のアドバンスト・セル・テクノロジー社などのグループが、受精卵を壊さずES細胞をつくる技術を開発し、同じくネイチャー電子版に発表する。分裂した受精卵の細胞の一部だけを取り出し、ES細胞まで育てた。遺伝病の有無などを調べる受精卵診断と同様の手法で、残った受精卵は普通に育つという。

 

《朝日新聞社asahi.com 2005年10月17日より引用》

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