20050215

ブタの胚、マウス体内で臓器に成長 異種移植に期待


2005年02月15日

ブタの胚(はい)の細胞をマウスに移植し、肝臓や膵臓(すいぞう)、肺などの臓器に成長させることにイスラエルのチームが成功した。14日、米科学アカデミー紀要(電子版)に発表した。ブタの臓器そのものを移植する方法よりも拒絶反応を制御できる可能性があり、人間への異種移植への応用も期待される。

研究チームは、受精後さまざまな時期のブタの胚から各種の細胞を取り出し、特殊なマウスの体内に移植した。6~8週間後にマウスの体内を調べた結果、特定の時期の胚の細胞だけが各臓器に成長することが分かった。肝臓の場合は受精後28日の細胞、膵臓だと同42~56日、肺では同56日が、それぞれうまくいったという。

ブタやヒヒの肝臓を治療に使う異種移植の試みは過去にあるが、強い拒絶反応のため失敗した。今回は免疫力のない特殊なマウスを使ったが、免疫力があっても胚の細胞なら拒絶反応を制御できる可能性があり、研究チームは「臓器ごとに移植に適切な時期が分かったことで、ブタの胚の細胞を幅広い病気の治療に使える可能性が出てきた」と述べた。

(02/15 12:08)

 

《朝日新聞社asahi.com 2005年02月15日より引用》

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