5万ドルでクローン猫 米でペットの「コピー」販売
2004年12月23日
かわいがっていた猫を亡くした愛猫家の女性の注文で、米国の会社が体細胞クローン技術を使ってクローン猫を誕生させ、配達していたことが22日明らかになった。ペット商売にクローン技術を採り入れた米国初の事例だ。稼働し始めたペットの「コピー」ビジネスの是非を巡って今後、議論が高まりそうだ。
AP通信によると、クローン猫を販売したのはジェネティック・セービングス・アンド・クローン社(カリフォルニア州サウサリート)。名前などを明かさないという条件で同社が女性に電話取材に応じさせたという。
女性はテキサス州に在住。17年間飼っていた猫のニッキーが昨年死亡した。遺伝子バンクに預けていたニッキーのDNAから同社がクローン猫をつくり、今月上旬にこの女性に配達。料金は5万ドル(約520万円)だった。「リトルニッキー」と名付けられた猫は今、生後2カ月になるという。
女性は「ニッキーは猫には珍しく水が好きだった。リトルニッキーもお風呂に飛び込んできた」と、性格がそっくりである点を強調した。
同社は犬のコピーも05年中に実現すると発表しており、ペットを亡くし、悲しみにくれる人々の「市場」に本格的に乗り出す構えだ。
テキサス州の大学では01年にクローン猫誕生に成功しているが、体毛の模様が違っていたことが話題になった。遺伝子だけでなく子宮内での環境などにも左右されるためと見られ、専門家も「個性も含め、そっくりコピーするのは不可能」と指摘している。クローン動物に健康上の問題が起きやすいとの警告も出ている。
また、動物愛護団体などからは「多くの捨て猫が安楽死処分されている現実を考えると、倫理的にも問題がある」との批判がある。
(12/23 21:32)
《朝日新聞社asahi.com2004年12月23日より引用》