京都の鳥インフルエンザ、5人に感染の疑い
2004年12月18日
今年2月に京都府丹波町の浅田農産船井農場(廃業)で発生した鳥インフルエンザをめぐり、大量死した鶏に接触した可能性のある元農場従業員ら5人が、ウイルスに感染した疑いのあることが17日、分かった。厚生労働省によると、この5人の血液から、ウイルスに対する抗体が検出されたという。ただ、抗体のレベルが高くないため、明確に感染したと言えるかどうか、専門家が検討中だという。人への感染が確認されれば、国内では初めてのケースとなる。
厚労省によると、国立感染症研究所が、同農場で鳥インフルエンザが発生した際に、防疫作業に関係した数十人の血液を調べたところ、5人の血液から鳥インフルエンザウイルスに対する抗体が検出された。5人は当時、発熱などの症状を訴えたが、重症にはならず回復している。今のところ、家族間など人から人への感染はないという。
この5人は、作業の事前に、抗インフルエンザ薬の「リン酸オセルタミビル」(商品名・タミフル)を服用したほか、防護服などを着用していたが、ウイルスがすり抜けた可能性があるという。
厚労省と感染研で、検出された抗体について詳しい検証を進めている。
鳥インフルエンザをめぐっては、03年末からベトナムや台湾などで発生の報告が相次ぎ、国内では04年1月、79年ぶりに山口県の養鶏場の鶏からウイルスを検出した。その後、大分や京都の養鶏場に感染が広がった。
同農場は京都府に対して、鶏の大量死の報告が遅れ府内の養鶏場に被害が広がった。京都の養鶏場だけで約25万羽、卵2000万個が処分され、4月13日に府が終息宣言した。
(12/18 01:18)
《朝日新聞社asahi.com 2004年12月18日より引用》