20041106b

細胞の持つ「細菌分解機能」発見 遺伝研などが論文発表


2004年11月06日

病原体に細胞の中まで侵入されてしまうと、もう免疫システムでは防御できないが、細胞自身に病原体を捕獲・分解する仕組みがあることを、国立遺伝学研究所や大阪大のチームがヒトの細胞で突き止めた。この「最後の砦(とりで)」を感染症の予防・治療に利用する研究を進めるという。米科学誌「サイエンス」電子版に論文を発表した。

同研究所の吉森保教授らは、栄養が不足したとき、細胞が自身の細胞質の一部を分解して栄養にあてる「自食作用(オートファジー)」に着目した。

実験では、咽頭炎などを引き起こす細菌を、ヒトの上皮細胞などに感染させた。すると、感染から4時間後に、自食作用を担う「オートファゴソーム」という袋状の膜構造が細胞内に現れ、細胞内に侵入した細菌の8割を包み込み、分解した。

袋状構造は、通常の自食作用のときの10倍ほどの大きさだった。

一方、遺伝子操作でこの膜構造ができないようにした細胞では、細菌が増えて細胞外にまで広がった。

吉森教授は「新たな感染防御システムが確認できた。臨床医学への応用が期待できる」と話す。

(11/06 22:36)

 

《朝日新聞社asahi.com 2004年11月06日より引用》

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です