ES細胞から網膜の細胞を作成 米チーム
2004年09月24日
米アドバンスド・セル・テクノロジー社とシカゴ大、ウェーク・フォーレスト大の研究チームは23日、ヒト胚性幹細胞(ES細胞)をもとにして網膜色素上皮細胞をつくることに成功したと、専門誌クローニング・アンド・ステムセルズに発表した。目の重い病気の治療に役立つ可能性がある。
ES細胞は、さまざまな臓器や組織に分化する能力を秘めている。研究チームがES細胞を特殊な方法で培養してつくった細胞を調べた結果、網膜色素上皮細胞と同じ性質を持っていた。視細胞に似た細胞もわずかに混じっていたという。
研究チームは論文の中で「ES細胞から網膜色素上皮細胞をつくった初めての事例だ。網膜変性疾患の患者への移植に適している」と説明している。
ブッシュ大統領は01年8月、ES細胞を新たにつくる研究への公的資金の支出を禁じた。今回の研究は、ハーバード大が公的資金を受けずに開発したES細胞を使った。
ES細胞研究の是非は11月の大統領選の争点でもある。民主党のケリー候補は「難病の治療に役立つ」との立場から研究を支持する構えだが、大統領は「受精卵でつくるES細胞は倫理的に問題がある」との姿勢だ。
今回の技術を臨床応用するには、患者の拒絶反応を抑えるため、同様に倫理的な批判のあるクローン技術を応用する必要がある。臨床応用にはなお曲折も予想される。
(09/24 20:23)
《朝日新聞社asahi.com 2004年09月24日より引用》