不妊治療研究で受精胚の作製容認 総合科技会議
2004年07月08日
ヒトクローン胚(はい)作製を条件付きで認める方針を決めた総合科学技術会議の生命倫理専門調査会(会長=薬師寺泰蔵・慶応大法学部客員教授)は7日、最終報告案を大筋で合意した。また精子と卵子で作る受精胚は生殖医療の研究に限って認めた。ただし、こうした研究に不可欠な卵子をボランティアから採取することは原則として認めない。研究の枠組み整備は文部科学、厚生労働両省に委ねる。13日に最終決定する。
ヒトクローン胚は、核を除いた卵子に、皮膚など体細胞の核を移植して作るが、いまはクローン人間作りを禁じたクローン技術規制法に基づく指針で禁止されている。
報告案によると、今後、この指針の改正とともに、作製を認めるための基準や研究機関の計画を個別に審査する仕組みが必要だとした。
受精胚の作製は不妊治療の研究などで実施されてきているが、国レベルで認めるのは初めて。生殖医療の技術向上などに限って、科学的合理性、社会的妥当性があり、「容認し得る」とした。難病などの研究で作製することは認めなかった。
卵子の入手方法として生殖医療のために採取した卵子の一部利用や手術で摘出した卵巣からの採取などを挙げ、提供者から同意を得る方法などについて両省が指針を作るよう求めた。
無償ボランティアからの採取は原則認めるべきではないとし、クローン胚作製には多数の卵子が必要なのでより厳しい制限が必要とした。
こうした規制を法律で定めるかどうかについては意見が分かれ、次回に持ち越した。
(07/08 00:23)
《朝日新聞社asahi.com 2004年07月08日より引用》