20040702a

遺伝子治療の免疫不全症女児退院へ 北大病院


2004年07月02日

アデノシンデアミナーゼ(ADA)という酵素が生まれつき作れない重症の免疫不全症の女児(5)に対し、血液を作る幹細胞に正常な遺伝子を導入する国内初の遺伝子治療をしていた北海道大医学部付属病院は2日、女児の症状が改善したため同日中に退院すると発表した。同病院によると、幹細胞への遺伝子治療だけで症状が改善したのは世界で初めて。

治療をした崎山幸雄教授によると、患者は神奈川県内の女児。ADAそのものを注射する酵素補充療法で効果が出なかったため、昨年12月、骨髄から血液幹細胞を採取して、これにADA遺伝子を導入し、静脈に点滴投与する治療をした。

酵素補充療法をやめたことで指標のリンパ球の数は減っていたが、遺伝子治療後、血液千分の1ミリリットルあたり約400個に戻り、子どもの正常値の下限とされる2千個に近づいた。また、免疫力の目安であるT細胞がリンパ球の中に占める割合が、正常な人と同じになった。これは酵素補充療法でみられなかったことという。

北大では95年、ADA欠損症の男児に対し、国内初の遺伝子治療をした。この時は末梢血中のリンパ球にADAをつくる正常な遺伝子を入れる方法を採った。リンパ球の寿命に伴って次第に治療効果が落ちたため今年2月、この男の子に対しても幹細胞に遺伝子を入れる治療をした。

(07/02 13:51)

 

《朝日新聞社asahi.com 2004年07月02日より引用》

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です