八甲田牛、民間で繁殖 青森市、ブランド維持へ方針 /青森県
2017年01月28日
八甲田山ろくにある青森市農業振興センター(旧畜産振興センター)で続けられてきた和牛「八甲田牛」の繁殖について、青森市は4月から、センターの施設を使って民間委託する方針を決めた。八甲田牛は赤身主体の肉質が好評な半面、センターの老朽化が問題となっていた。外部化し、八甲田牛を育てている市内の畜産農家に子牛を供給することを目指すという。
八甲田牛は北東北を中心に飼育されている「日本短角種」の一種で、肉質は赤身主体で低カロリー。市内のスーパーなどでも消費者の人気が高まり、店からも増産の要望があるという。
ところが、センターは開設から約50年が経過。市によると、施設規模としては約70頭の繁殖が可能だが、老朽化による雨漏りなどで牛を飼えない部分も生じてしまい、結果的に牛の繁殖数も減った。近年は、後継育成や試験用にセンターに残す牛を除けば、畜産農家に供給できるのは年間30頭台が精いっぱいという。
施設の建て替えには数億円かかると見込まれ、市は厳しい財政事情を理由にこれを断念。当初は、市内の計4戸の畜産農家に子牛を家畜市場から購入してもらい、市が助成金を出す方法によって、40頭ほどを確保しようと考えていた。ところが、北東北の家畜市場で子牛の市場価格が高騰し、必要な子牛を確保できない状況となった。
八甲田牛のブランドを維持するために、新たに取り組むのは民間委託。市内の繁殖農家や畜産組合などにセンターの施設を使って子牛を繁殖してもらい、畜産農家へ子牛を供給してもらう。委託先は指名競争入札で決める。センターは老朽化しているものの、当面は使えるという。
市農林水産部の金沢保部長は「畜産農家に子牛を売れるのは、現状の30頭ぐらいになると思うが、民間業者への委託で市の経費が抑えられる。また、八甲田牛を扱っていない業者に施設を使ってもらうことで、八甲田牛の繁殖農家を育てるという目的もある」と話す。(成田認)
【写真説明】
市農業振興センターで繁殖し、生まれた八甲田牛の子牛=2016年9月、青森市合子沢
《朝日新聞社asahi.com 2017年01月28日より抜粋》