環境ホルモン疑いの殺虫剤「ケルセン」、6社自主回収へ
2004年03月22日
環境ホルモンの疑いを持たれている殺虫剤のケルセン(国際標準名・ジコホル)を販売してきた米ダウ・ケミカルの日本法人は、農薬登録を取り下げて販売を中止し、流通業者や農家の在庫を自主回収することを明らかにした。環境規制の強化で採算に合わなくなったためで、「農薬としての安全性は確認されているが、使用者の安心のために回収する」と説明している。
国内の製剤メーカー5社も同調する。ミカンなどの果樹や野菜のダニ用に40年以上使われ、いまも米国など40カ国以上で農薬登録されているケルセンが、日本から姿を消すことになる。
ケルセンはDDTに化学構造が似た有機塩素系の物質。環境ホルモンの疑いがあるとして、環境省が公表している「環境ホルモン戦略計画SPEED98」のリストに入り、リスク評価の検討対象になっていた。
さらに、環境規制の強化を目指して4月に施行される改正化学物質審査規制法(化審法)で、生態系中の動植物のデータを大量に求められる可能性が出ていた。ダウによると、こうしたデータ収集には約10億円かかる、としている。一方、ケルセンの市場規模は出荷段階で年間2億~3億円にとどまっているとみられ、採算にあわなくなっていた。
(03/22 06:35)
《朝日新聞社asahi.com 2004年03月22日より引用》