牛肉輸出再開へ民間自主検査を検討 米が近く日本提案へ
2004年03月21日
米国の牛海綿状脳症(BSE)問題で停止している日本への牛肉輸出再開に向けて、米政府と米食肉業界が、民間業者による自主検査を取り入れる方向で調整していることが、20日わかった。米政府は全頭検査に否定的な姿勢を崩していないが、販売促進策として検査の拡大を位置づける考えも浮上している。他の対策も含め、今週にも方針を日本に示す見込みだ。米側が日本の主張にも一部歩み寄って「全頭検査」と同じ効果のある案をまとめれば、牛肉禁輸解除につながる可能性がある。
米政府筋や業界筋によると、対日輸出再開をめざす複数の企業が、自主検査への政府承認を希望している。米政府は、こうした申し出に対し、どう関与できるかなどを業界と協議しており、近く方針を出す。
米政府はこれまで「輸出向けだけに全頭検査するのは、安全の二重基準になる。コストも膨大」と否定的だった。しかし、同政府内には「付加価値をつける販売促進策のひとつと位置づけるなら、検討の余地がある」との意見がある。また、欧州や日本と同じような簡易検査導入を最近決めたため、コストや手間が減る見通しが出てきた。
米政府は追加対策として、病原体がたまりやすい特定危険部位の除去徹底や、病原体がたまらないとされる若い牛を区分して出荷する仕組みも検討中。こうした検討状況を、22日からジュネーブである世界貿易機関(WTO)農業交渉の機会などで日本側に示し、約3カ月続く禁輸の打開を図るとみられる。
日本側は「危険部位除去や全頭検査など、日本と同等の効果のある対策」を要望。日本向けに限った民間自主検査でも、政府による一定の関与を求めている。米側の動きについて、「日本の消費者の意向を踏まえてくれるなら歓迎したい」(農水省首脳)と前向きに受け止めている。
(04/03/21 06:00)
《朝日新聞社asahi.com 2004年03月21日より引用》