ヒトクローン胚からES細胞作成に成功 韓国の研究者ら
2004年02月12日
ヒトの体細胞の核を卵子に移植してつくったクローン胚(はい)から、様々な組織になりうる胚性幹細胞(ES細胞)をつくることに韓国と米国の研究者が初めて成功し、米科学誌サイエンス電子版に12日発表した。拒絶反応のない移植用の臓器づくりにつながる半面、倫理的な問題が指摘されている。
成功したのは韓国ソウル大学や米ミシガン州立大などのチーム。女性16人から提供を受けた242個の卵子の核を取り除き、女性の体の細胞から取った核をそれぞれ移植してクローン胚を作製した。30個は子宮に着床できる段階の胚盤胞(はいばんほう)に成長。取り出した細胞から一つのES細胞を作製できたという。
クローン胚は、子宮に戻せばクローン人間につながる。一方で、遺伝的に同じ組織や臓器が作れる可能性があるため、拒絶反応のない移植治療の実現が期待されている。
日本や仏独ではヒトクローン胚の作製は禁止、米国でも政府予算を使った研究は禁止されており、ヒトのES細胞は、受精卵から作製し研究が進められてきた。再生医療を進めるにはクローン胚研究が不可欠として、国の総合科学技術会議でも作製解禁の是非が議論になっている。
韓国では研究目的のヒトクローン胚作製は禁止されていない。
(02/12 11:57)
《朝日新聞社asahi.com 2004年02月12日より引用》