20031105

広島・福山の牛、国内9頭目のBSEと認定


2003年11月05日

広島県福山市内の食肉処理場で解体された生後21カ月の雄の食用牛が、牛海綿状脳症(BSE、いわゆる狂牛病)の疑いがあるとされた問題で、厚生労働省の専門家会議(座長=品川森一・動物衛生研究所プリオン病研究センター長)は4日、同牛を感染初期のBSEと判定した。BSEと確認された牛は国内9頭目で、これまでで最も若い。10月に「非定型」BSEと判定された生後23カ月の8頭目とは異なり、7頭目までと同じ従来型だった。西日本生まれの牛で、BSEと判定されたのは初めて。

01年10月に感染原因とみられる肉骨粉が全面禁止された後に生まれた牛で、従来型のBSEが確認されたのは初めて。英国でも肉骨粉禁止後に、肉骨粉が原因とみられるBSEが発生しており、感染ルートの解明が今後の課題になる。

この牛の食肉は焼却処分される。同じ牧場で育った牛も移動が禁止され、食用に回らない。品川座長は、「量的には微量で、(病原体の)異常プリオンが蓄積し始めて間もないころと思われる」と話した。

生後21カ月での感染が確認されるのは、世界でも例が少ないが、英国では2歳未満の牛の発症例が報告されている。欧州では2歳未満は検査対象外なのに対して、日本では欧州よりも精度の高い検査方法で全頭を検査しているために、今回のような若い牛での感染が確認されたという。

厚労省によると、この牛は昨年1月13日に兵庫県氷上郡で生まれたホルスタイン。同年2月から広島県福山市で育てられていた。今年10月29日に同市内の食肉処理場で解体された後、同市食肉衛生検査所で、全頭を対象にした1次検査で陽性となった。その後、国立感染症研究所(東京都)で2次検査を続けていた。この牛に歩行困難などの症状は見られなかったという。

BSEの有力な感染経路とされている肉骨粉は、日本では輸入、使用などが全面禁止されている。しかし、肉骨粉に含まれる病原体プリオンは微量でも感染の危険があり、肉骨粉が牛の他の飼料に混じった可能性もある。

(11/04 21:20)

 

《asahi.com 2003年11月05日より引用》

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