BSE・ヤコブ病 正常たんぱく質減らせば発症防止
2003年10月31日
牛海綿状脳症(BSE)やクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)など異常たんぱく質がたまって起きる病気は、正常たんぱく質を減らせば感染しても発症しない――。こんなマウス実験の結果を、英国の研究グループが31日発行の米科学誌サイエンスに発表する。
CJDや羊のスクレイピーなどの病気は、プリオンという、脳で作られるたんぱく質の異常が原因とされ「プリオン病」と呼ばれる。異常プリオンが脳に入ると、正常プリオンも異常になって蓄積される。やがて脳がスポンジ状になり、運動能力の障害など様々な神経症状を起こし死亡する。
ロンドン大のジョン・コリンジ博士らは、スクレイピーが発症しやすいマウスを利用。その一部に手を加えて、ある時期から正常プリオンを作る働きが抑えられるようにし、脳に異常プリオンを接種して比較した。
いずれも接種後8週で脳がわずかにスポンジ状になった。その後、手を加えなかったマウスは十数週で死んだのに対し、正常プリオンを抑えられるよう手を加えたマウスは50週以上生きた。死んだマウスと同じほど異常プリオンがたまっても発症しなかった。
博士らは、異常プリオンの蓄積ではなく、正常プリオンが異常になる過程が発症にかかわり、正常プリオンを標的にすれば発症を防げる可能性があると指摘している。
(10/31 06:07)
《asahi.com 2003年10月31日より引用》