ハリネズミ野生化、伊東や小田原で繁殖 東京農大生調査
2003年09月23日
針状の体毛で身を守ることで知られるハリネズミが、静岡県伊東市や神奈川県小田原市で野生化している。本来の生息地はユーラシア大陸だが、ペットが逃げたか放されて繁殖したらしい。財団法人・自然環境研究センターの石井信夫研究主幹、東京農大4年の大塚知美さんらが、23日まで盛岡市で開かれていた日本哺乳(ほにゅう)類学会で発表した。
伊東市の伊豆シャボテン公園では、95年ごろから、近隣の野外で保護されたハリネズミが持ち込まれるようになり、飼育係の柿崎星子さんによると、計129匹に達している。今年6月、石井さんらが保護された地点周辺にワナを仕掛けてみると、8匹がかかった。
小田原市でも87年から目撃情報が寄せられるようになり、8月に石井さんらが梅林や農耕地で6匹を捕獲。定着を確認した。
伊東市のハリネズミはアジア産のマンシュウハリネズミで、小田原市のは欧州などにすむナミハリネズミらしい。伊東市の生息範囲は約20平方キロメートルと特に広く、相当数いると見られる。栃木県真岡市でも野外での捕獲が相次ぎ、野生化している可能性がある。
ハリネズミは、欧米では昔からペットとして人気で、日本でも売られている。今のところ大きな問題は起きていないが、人にうつる感染症の有無など不明な点も多い。伊東市ではイチゴが食べられ、また、エサが競合する在来種のモグラを圧迫する可能性もある。石井さんは「生態系や農業にどんな影響が出るか分からない。コントロールできるうちに野外から除くことが必要」と言う。
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ハリネズミ アフリカ、ユーラシア大陸に生息。モグラと同じ食虫目で夜行性。森林や草むらを好み市街地の庭にもすんで、ミミズや、昆虫類など地表性の小動物を食べる。危険を感じると体を丸めて針状の毛を逆立てる。ナミハリネズミで体長23~32センチ、尾2、3センチ、体重700~800グラム。
(09/23 18:48)
《朝日新聞社asahi.com 2003年09月23日より引用》