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凍結未受精卵使い初出産 1年後に解凍し体外受精 長野


2003年09月23日

従来より簡便な凍結法で長期保存した卵子に体外受精し、出産させることに、長野県下諏訪町の諏訪マタニティークリニック(根津八紘〈やひろ〉院長)が国内で初めて成功した。卵子内に氷の結晶ができるのを防ぐため、特別な液体を注入して水分を追い出してから急速冷凍する「ガラス化法」を使った。来月に東京で開かれる日本不妊学会で発表する。

出産したのは30歳代の女性。夫が無精子症でわずかな精子しかないため、01年に体外受精を試みた。だが精子を採取できず、卵子をガラス化法で保存した。約1年後に精子が採取できたため、卵子を解凍して体外受精し妊娠、昨年男児を出産した。元気に発育しているという。

ガラス化法なら、従来法のように、ゆっくり温度を下げるための高度な冷却装置は不要で、小規模な医療施設でも導入しやすい。また根津院長によると、凍結によって卵子が壊れにくく、生存率の低下を防げるという。

国内での凍結卵子による出産は、01年に従来法による例が初めて報告された。凍結保存すれば、放射線によるがん治療などで不妊になる前に採卵しておき、治療後に妊娠できる。一方、若いとき保存した卵子で出産時期は閉経後を含め意のままにできるなど、倫理面で論議がある。

(09/23 19:46)

 

《朝日新聞社asahi.com 2003年09月23日より引用》

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