20030723

受精卵診断、名古屋市大が承認 9月にも学会へ申請


2003年07月23日

重い遺伝病の子どもの出産を避けるため、体外受精した受精卵から細胞を取り出し、生まれる子どもが病気になる可能性を調べる「受精卵診断」の実施を、名古屋市立大医学部の教授会が22日に承認した。9月にも日本産科婦人科学会へ申請し、認められればできるだけ早く実施したいとしている。国内ではこれまで学会に2例が申請されたが認められておらず、今回実施されれば初のケースとなる。

診断を希望しているのは、西日本に住むともに30代の夫婦。男性は筋肉が委縮する筋緊張性ジストロフィーを発症している。遺伝性の病気で、世代を経るごとに症状が悪化する。

診断するのは、鈴森薫教授(産科婦人科)らのグループ。10日に医学部の倫理委員会で承認を得て、教授会に諮っていた。

診断は、受精卵が8個に細胞分裂した時点で一部の細胞を取り出し、その遺伝子を調べる。共同研究先の米国の研究チームに依頼するか、独自の手法で診断するか、いずれかの方法をとる。米国側は、すでにこの病気の受精卵診断に約40例の実績があるという。

受精卵診断は90年代前半から英国や米国で始まった。着床前診断とも呼ばれ、「命の選別」につながると論議を呼んだ。日本産科婦人科学会は98年、重い遺伝病に限ることや、学会に申請し認可を得た場合に限ることなどを条件に、認める見解を出している。

これまでに鹿児島大、セントマザー産婦人科医院(福岡県北九州市)が学会に申請したが、判定法が十分でないことや、対象の病気が重い遺伝病にあたらないとして、認められなかった。

(07/23 11:32)

 

《朝日新聞社asahi.com 2003年07月23日より引用》

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