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クローン技術でマンモス復活 シベリアで発掘の肉片公開


2003年07月17日

マンモスのものとみられる骨髄(右)と皮膚(左)=17日午前10時40分、和歌山県打田町の近畿大生物理工学部で

マンモスのものとみられる骨髄(右)と皮膚(左)=17日午前10時40分、和歌山県打田町の近畿大生物理工学部で

クローン技術を使って約1万年前に絶滅したマンモスを復活させる計画をすすめる国際研究チームが17日、和歌山県打田町の近畿大生物理工学部で会見し、ロシア・シベリアの永久凍土から発掘したマンモスのものとみられる肉片などを公開した。今後、DNA鑑定でマンモスかどうかを確かめ、DNAの保存状態を調べて復活の可能性を探る。

計画を進めるのは近大や岐阜県科学技術振興センター、ロシアのマンモス博物館など。昨夏、シベリア北部の永久凍土地帯でマンモスのものとみられる足2本などを発掘した。採取されたのは筋肉や骨髄、皮膚などの組織片五つ。皮膚片の大きさは約5センチ四方で厚さ約1センチ。零下150度を保った状態で空輸され、15日に日本に到着した。

近大の入谷明教授(発生工学)によると、組織片に残る細胞からマンモスのDNAを含む核を取り出し、あらかじめ核を取り除いたアジアゾウの卵子に移植してクローン胚(はい)を作製する。それを代理母役のゾウの子宮に移してマンモスを出産させる計画だ。

「復活」を左右するのがDNAの保存状態。細胞には水分が含まれるため凍りつく際にDNAが傷ついている可能性は高い。入谷教授らが4年前に得たマンモスのものとされた皮膚(後日、サイのものと判明)は、DNAが壊れていて使えなかった。また、ウシやマウスなどのクローン動物は正常に誕生する確率が数%に過ぎないといい、完全なDNAが得られても「復活」は遠い。

入谷教授は「今回は骨髄も残っており状態は良い。DNAがどの程度残っているか早急に調べたい」と話す。アジアゾウの体外受精技術を持つタイの大学とも共同研究をする予定だ。

 

《朝日新聞社asahi.com 2003年07月17日より引用》

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