リンパ球移動の仕組み解明 京都大
2003年07月07日
病原体の侵入などで炎症の起きている場所に、免疫細胞で司令役に当たるリンパ球が移動する時に働く遺伝子を京都大医学研究科の木梨達雄教授と片桐晃子講師らが突き止めた。過剰な炎症が起こるアレルギーを抑える薬の開発などに役立つという。6日付の米科学誌ネイチャー・イミュノロジー電子版に発表する。
血液に乗って体中を循環しているリンパ球は炎症が起きている場所の近くに来ると、血管の壁の内皮細胞にくっつき、血管外にすり抜ける。リンパ節に移動し、病原体などの抗原をもっている別の免疫細胞とくっついて刺激を受け取り、病原体を攻撃する細胞に変化したり、ほかの細胞に攻撃の指令を出したりする。
木梨教授らは、炎症部から出る生理活性物質をリンパ球が感知すると、RAPLという遺伝子がつくるたんぱく質が活性化し、リンパ球の表面にある接着因子の働きを強めることを、マウスの細胞実験で証明した。接着性が強まる結果、血管内皮や抗原をもつ細胞にくっつくことがわかった。
木梨教授は「免疫反応が過剰に炎症部に集まると、アレルギーや自己免疫疾患を起こす。RAPLの働きを制御する治療薬を開発したい」と話していて、製薬企業との共同研究を進めている。
《朝日新聞社asahi.com 2003年07月07日より引用》